ビタミンCとセサミンの相乗効果

ゴマの栄養素セサミンは、肝機能の向上やうつ病予防、老化防止など様々な効能を持つことで知られています。
このセサミンのサプリメントに配合されることも多いビタミンCは、セサミンと同じ効能をいくつか持っています。
そのためセサミンとビタミンCを同時に摂ることで、両者に共通する効能の相乗効果を期待することができます。

セサミンとは

セサミンは、ゴマに含まれるポリフェノール(植物由来の抗酸化作用を持った栄養素)の一種です。
私たちが普段食べる食材の中ではゴマにしか含まれていないため、ゴマ固有の栄養素と言って良いでしょう。

セサミンの効能の大半は、セサミンが持つ抗酸化作用に由来しています。
抗酸化作用の説明をする前に、まずは活性酸素からご紹介しましょう。

【活性酸素とは?】
私たちが生きていく上で必要不可欠な酸素ですが、時折変化して活性酸素となって、周囲の組織や細胞を酸化して傷つけるようになります。
活性酸素に傷つけられた箇所は機能を失ってしまったり、がん細胞化したりして、ガンや老化の原因となってしまいます。

【抗酸化作用とは?】
この活性酸素と反応して、これを除去する働きが「抗酸化作用」です。
セサミンは抗酸化作用によって、脂肪肝やうつ病、しみ・しわ・たるみ、白髪・脱毛・薄毛、動脈硬化といった、活性酸素が原因で起こる症状・病気を予防・改善してくれます。

セサミンが持つ抗酸化作用由来でない効能の中にも、上記のものに引けを取らないほど重要なものがあります。
セサミンは胃腸では吸収されずに、肝臓の門脈という部分で吸収されて、以後は摂取したセサミンのほとんどが肝臓で働きます。
肝臓では人体で発生する活性酸素の約8割が発生するため、セサミンの抗酸化作用が活躍するのですが、それと同時にセサミンは肝臓の酵素に働きかけて肝臓の機能(代謝活動や解毒)を活発にしてくれます。
肝臓の処理能力が向上することで、食事の栄養をしっかりと摂れるようになり、健康的な身体を作ることができます。
また、肝臓におけるアルコールの分解も促進してくれるため、悪酔いや二日酔いになりにくくもしてくれます。

この他にも、セサミンは血中のLDLコレステロール値を下げて、動脈硬化や肥満を予防・改善する働きや、女性ホルモン・エストロゲンをサポートして更年期障害を予防・改善する働きなどを持っています。

ビタミンCとは

ビタミンCは別名アスコルビン酸

ビタミンCは、私たちに最もなじみが深い栄養素です。
ビタミンとは、生き物が生きていく上で必要不可欠な栄養素のうち、炭水化物・タンパク質・脂質を除いた有機化合物(炭素を含んだ化合物)の総称です。
ビタミンは機能で分類されるため、具体的な物質名ではありません。
そのため、ほとんどのビタミンは複数種類の栄養素の総称となっています。
そんな中でビタミンCはL-アスコルビン酸と言う栄養素1種類のみから成っています。

ビタミンCの働き

ビタミンCは、私たちの真皮・靭帯・腱・骨・軟骨を構成するコラーゲンの合成に深く関わっています。
ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成が満足に行えなくなるため、壊血病となります。
人体ではビタミンCを合成することができないため、1日あたり100mgのビタミンCを取らなければ、各種の欠乏症状(出血性の障害など)が現れます。

ビタミンCもセサミンと同じく抗酸化作用を持っており、スーパーオキシドやヒドロキシラジカル、過酸化水素といったタイプの活性酸素を除去します。
また、同じく抗酸化作用を有するビタミンEが、活性酸素を除去する代わりにビタミンEラジカルに変化したものをビタミンCが元のビタミンEに戻してくれます。

この他にも、肝臓の解毒など様々な場面で活躍する酵素シトクロムP450の活性化、鉄分の吸収促進、胆汁酸の合成など人体の重要な反応の多くにビタミンCは関与しています。

セサミンとビタミンCに共通する効能

セサミンとビタミンCに共通する効能として、抗酸化作用が挙げられます。

実は活性酸素にも様々な種類があり、ビタミンCが除去するスーパーオキシドやヒドロキシラジカルといった活性酸素は、セサミンが除去するタイプの活性酸素(過酸化脂質)を生み出す原因となる活性酸素です。
そのため、厳密にはセサミンとビタミンCが除去する活性酸素は違う物質なのですが、どちらも共に活性酸素を除去して、細胞や組織の破壊を防いでいるという点では共通しています。

活性酸素は周囲の細胞や組織を傷つけて、機能を喪失させたり、老化現象を引き起こしたりしますが、ビタミンCとセサミンは共に抗酸化作用によって老化を食い止めます。
壊血病を発症しない程度(1日に2.5mg以下)のビタミンCしか摂取しない生活を3年以上続けると、老化が早く進行し、早死にする場合もあることが動物実験で判明しています。
セサミンは五大栄養素ではないため、たとえ取らなかったとしても生命には関わりませんが、毎日継続して摂ることでしみ・しわ・たるみなどの肌の老化現象や、白髪・脱毛・薄毛といった髪の老化現象、動脈硬化や脂肪肝などの内臓・血管の老化現象を予防・改善してくれます。

セサミンとビタミンCの相乗効果

セサミンとビタミンCを同時に摂ることで、セサミンの抗酸化作用とビタミンCの抗酸化作用を、それぞれの栄養素を単独で摂る場合よりも高めること(相乗効果)が期待できます。

抗酸化作用を高める

セサミンもビタミンCも共に抗酸化作用によって活性酸素を除去してくれますが、人体で発生する活性酸素は非常に多いため(1日に細胞1個あたり10億個)、抗酸化作用を持った栄養素(抗酸化物質)の量は多いに越したことはありません。
また、セサミンもビタミンCも共に抗酸化作用以外の働きも持っており、そちらの方もしっかりとこなさなければなりません。
セサミンもビタミンCも、摂取した分全てがそのまま活性酸素の除去のために働くわけではないのです。

また、ビタミンCは人体に必須の栄養素ではありますが、大量に摂取すると下痢や胃腸の不調を招く恐れがあります。
一方セサミンに関しては、過剰摂取による副作用の影響は報告されていません。
ビタミンCの抗酸化作用を高めるために、ビタミンCを大量に摂ることはできませんが、ビタミンCだけでなくセサミンを一緒に摂ることによって抗酸化作用を高めることは可能です。

体内の違う場所で働く

さらに、吸収されたビタミンCが全身で働くのに対し、肝臓の門脈から吸収されたセサミンの大半は、肝臓で発生する大量の活性酸素(人体で発生する活性酸素の約8割)を除去するために使われます。
セサミンだけを摂る場合、肝臓以外の部位はどうしても手薄になってしまいますし、ビタミンCだけを摂る場合、肝臓に対してセサミンほどの効果は発揮できません。
ビタミンCとセサミン、それぞれ違う部位で働くからこそ、抗酸化作用もより強まるのです。

相乗効果が期待できる具体的な効果

セサミンとビタミンCの相乗効果は主に抗酸化作用に現れますから、次のような効能においてそれぞれを単独で摂取する場合よりも高い効果が期待できます。

  • ・しみ・しわ・たるみなどの肌のトラブルの予防・改善(ビタミンCによるコラーゲン合成の効果も期待できます)
  • ・白髪・脱毛・薄毛など髪のトラブルの予防・改善
  • ・活性酸素が原因で起こるうつ病や自律神経の乱れの予防・改善
  • ・活性酸素のLDLコレステロール酸化を防ぐことによるアテローム性動脈硬化の予防
  • ・脂肪肝の予防・改善

                                 など

セサミンとビタミンCを同時に摂る際の注意点

セサミンとビタミンCを同時に摂る際に注意すべきポイントは何でしょうか?

高脂質・高カロリーの食事を避ける

高脂質・高カロリーの食事を摂っていると、体内に余分な脂質がどんどん溜まっていきます。
こうした脂質を、スーパーオキシドやヒドロキシラジカルなどの活性酸素が酸化することによって生まれるのが、過酸化脂質というタイプの活性酸素です。
過酸化脂質も他の活性酸素と同様に、周囲の細胞や組織を傷つけて、ガンや老化の原因となるのですが、他の活性酸素以上に厄介な点は、過酸化脂質が一度発生すると、周囲の脂質を酸化して連鎖的に新たな過酸化脂質が発生してしまうことです。

セサミンは過酸化脂質を除去しますが、あまりに過酸化脂質の量が多いと、焼け石に水となってしまい、効果が相対的に下がってしまいます。
高脂質・高カロリーの食事を避けることで、余分な脂質を溜め込まないようにしましょう。

活性酸素の原因となるもの・生活習慣を避ける

活性酸素もまた、過酸化脂質と同様に量が多すぎるとビタミンCの抗酸化作用の効果を相対的に低下させてしまいます。
活性酸素の原因となるものは次のようなものです。

  • ・紫外線
  • ・タバコ
  • ・多量のアルコール
  • ・化学薬品
  • ・多量の食品添加物
  • ・強いストレス
  • ・激しい運動

これらのもの・生活習慣を避けることで活性酸素の量を抑えれば、ビタミンCやセサミンの効能をより高めることができます。

ビタミンEを合わせて摂ると効果がさらにアップ

ビタミンEはセサミンともビタミンCとも相性が良い栄養素ですから、できれば一緒に摂るようにしてください。
ビタミンCとビタミンEを共に摂ることで、アテローム性動脈硬化症や子癇前症、紅斑(日焼け)の予防などに効果があったという報告がありますし、上でもご紹介したように、ビタミンEが活性酸素と反応してビタミンEラジカルに変化したのをビタミンCは元に戻します。
また、セサミンとビタミンE(正確にはビタミンEの一種であるトコトリエノール)を共に摂ることで、紫外線による肌のダメージを効果的に抑えることができます。
このようにビタミンEは、セサミンとビタミンC、どちらと組んでも効果的な栄養素なのです。

まとめ

セサミンとビタミンCは共に抗酸化作用を持っているため、両者を同時に摂ることで相乗効果が期待できます。
厳密には、セサミンの抗酸化作用とビタミンCの抗酸化作用では、除去する対象が異なります。
また、ビタミンCが全身で抗酸化作用を発揮するのに対し、セサミンは主に肝臓で発生する活性酸素の除去に働きます。
さらに、ビタミンCもセサミンもそれぞれ抗酸化作用以外にも役割がありますから、活性酸素の除去に使われるのは摂取したうちの一部に過ぎません。
これらのことからも分かるように、セサミンとビタミンCは、それぞれを単独で摂るよりも一緒に摂った方がより効果的に抗酸化作用を発揮してくれるのです。

セサミンとビタミンCの相乗効果は具体的には、

  • ・しみ・しわ・たるみなどの肌のトラブル
  • ・白髪・脱毛・薄毛など髪のトラブル
  • ・活性酸素が原因で起こるうつ病や自律神経の乱れ
  • ・アテローム性動脈硬化
  • ・脂肪肝

などの病気や症状を予防・改善する働きが高まるというものです。

セサミンとビタミンCを同時に摂る際には、

  • ・高脂質・高カロリーの食事を避ける
  • ・活性酸素の原因となるもの・生活習慣を避ける
  • ・ビタミンEを合わせて摂る

といった点に気をつけるようにして下さい。

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