セサミンの精神安定効果

ゴマ由来の天然栄養素・セサミンには肝臓機能の向上やガン予防、うつ病予防など様々な効能がありますが、実は精神を安定させる効果もあるのです。セサミンの精神安定効果について見ていきましょう。

セサミンの精神安定効果(エストロゲン編)

セサミンの精神安定効果の一つ目は精神安定効果のある女性ホルモン・エストロゲンと似た効果をセサミンが発揮することによるものです。まずは、エストロゲンの精神安定効果について見てみましょう。

(1)エストロゲンの精神安定効果
脳内で気分調整や依存症抑制/衝動抑制を司るのがセロトニンという物質です。女性ホルモンであるエストロゲンには、セロトニンを活性化させる働きがあります。そのため、エストロゲンが豊富にあれば、抑うつ感や無気力感、漠然とした不安感といった「うつ状態」が起こりにくくなり、意欲増進、行動の活発化、気分改善など精神が安定した状態となります。

女性の精神的に不安定な時期というのは、エストロゲンの分泌量が安定していない時期(思春期)や減少している時期にあたります。女性は男性に比べて体内のセロトニンの量が少ないため、うつ病の発症率が男性の2倍近くもあります。40歳以降はエストロゲンの分泌量が激減するため、うつ症状などの更年期障害が起こりやすくなります。

エストロゲンは女性ホルモンと呼ばれるように、女性の体内に多く存在し、生殖的な活動をコントロールしたり、精神を安定化したりしています。男性にはわずかな量しか存在しませんが、男性はセロトニンの量がもともと多いため、エストロゲンの量が少なくても精神は比較的安定した状態にあると言えます。もちろん、エストロゲンの持つセロトニンの活性化効果は、男性においても有効ですので、男性でメンタル面が不安定という人が摂取しても効果はあります。

(2)セサミンは植物性エストロゲン
さて、セサミンの精神安定効果ですが、始めに述べたようにセサミンはエストロゲンと似た働きをする、植物性エストロゲン(エストロゲンと似た構造・効果を持つ植物成分)というカテゴリーに分類されています。

前出のように、エストロゲンの分泌量が減少すると、女性は不安定な精神状態となります。この時にセサミンを摂取して、エストロゲンの不足した分を補ってやることで精神状態の安定化を図ることが出来ます。

ちなみに、セサミンがエストロゲンの役割を補うことで得られる効果には、精神安定以外にも血行改善、新陳代謝促進などがあります。

セサミンの精神安定効果(アンモニア編)

(1)うつ症状の原因になるアンモニア
セサミンの代表的な効能は肝機能の向上です。肝臓は食事から得たタンパク質や脂肪を体内で使えるサイズまで分解したり、それらを合成したりする働き(代謝)や胆汁の生成、そして人体に有害な物質(アルコールやアンモニアなど)の解毒を行なっています。

タンパク質や尿素の分解によって腎臓や腸で生じるアンモニアは、血液を通じて肝臓へ運ばれます。アンモニアは毒性が強い物質ですが、肝臓で分解されるため、日常生活に影響はありません。しかし、肝臓の処理能力が加齢や脂肪肝などによって下がってしまうと、処理し切れなかったアンモニアが血液中にあふれ、高アンモニア血症となってしまいます。

血液中のアンモニア濃度が高くなると軽度の場合で、夜に眠れなくなったり、周囲の物事に無関心になったりします。これがさらに重度になると意識障害や見当識障害(今日が何日で、今どこにいるのか分からなくなる)などを引き起こします。うつ病の症状に見えても、原因は血液中のアンモニアというわけです。

(2)セサミンが肝機能を高めて、アンモニア濃度を下げる
セサミンは肝臓の機能を促進させたり、加齢や脂肪肝により機能が低下した肝臓を回復させたりする効果があります。

肝臓で行われる代謝活動では、大量の活性酸素が発生し、肝細胞を破壊してしまいます。肝細胞の破壊によって機能が低下した肝臓には脂肪が溜まり(脂肪肝)、さらに機能が落ちてしまいます。

セサミンには活性酸素を除去する抗酸化作用があるため、活性酸素による肝細胞の破壊を防ぐことが出来ます。そしてセサミンには脂肪の代謝を促進する効果もありますので、脂肪肝も改善することが出来ます。こうして、肝臓の機能が回復することによって、アンモニアの分解が正常に行われるようになりますし、加えてセサミンによって肝臓の機能も促進されるのですから、血液中のアンモニア濃度はみるみる下がって行きます。アンモニア由来の不安定な精神状態もセサミンによって解消出来るのですね。

セサミンの精神安定効果を高めるには

セサミンの精神安定効果を高めるために次のことに気をつけましょう。

(1)毎日欠かさずにセサミンを摂取する
セサミンの精神安定効果は、エストロゲンの代用の場合もアンモニアの場合も共に毎日摂取することでじわじわと効果を発揮してくるものです。飲んで数日で劇的な効果を発揮する医薬品ではないことに留意してください。気が向いた時にだけ摂るようなことでは、効果は現れてはくれません。

(2)タバコや紫外線、高脂質の食事を避ける
摂取したセサミンは肝臓で吸収された後、血管を通じて全身を巡ります。その中で脳(視床下部)へ到達したセサミンはエストロゲンの代わりにセロトニンを活性化します。一方、肝臓に留まったセサミンは肝臓で発生した活性酸素の除去や脂肪肝の治癒にあたります。

この時に活性酸素が多く存在していると、せっかく摂ったセサミンが活性酸素の除去に使われてしまい、エストロゲンの代わりをしたり、脂肪肝の治癒をしたりするセサミンが少なくなり、精神安定効果が薄れてしまいます。

ですので、活性酸素を増やすような行動は避けましょう。活性酸素が増える行動・物として
・喫煙
・紫外線
・ストレス
・食品添加物
・激しい運動
などがあります。

(3)サプリメントは精神安定効果のある栄養素との組み合わせを選ぶ
セサミンの摂取方法では、サプリメントが最も手軽で効率が良い方法です。市販のサプリメントの大半は、セサミン単体ではなく、他の栄養素とミックスされたものです。セサミンと一緒に配合されることが多い、精神安定効果のある栄養素としては次のようなものがあります。

・DHA・・・気分の安定、うつ病予防・改善、イライラ解消に効果があります
・EPA・・・DHA同様、気分の安定、うつ病予防・改善、イライラ解消に効果があります
・ギャバ・・・自律神経の働きを調節して穏やかな気分にさせます

これらの栄養素とセサミンがミックスされることで相乗効果が期待出来ます。ぜひサプリメントを選ぶ際の参考にしてみて下さい。

まとめ

数々の効能で知られるゴマの栄養素セサミンには、精神安定効果もあります。セサミンの精神安定効果には(1)エストロゲンの代わりに働く(2)肝機能に働きかけてアンモニアを分解する、という2パターンがあります。

女性ホルモンのエストロゲンは脳のセロトニンを活性化させて、精神状態を安定させる効果がありますが、40代以降は激減してしまいます。セサミンはエストロゲンと似た効果を発揮するので、セサミンを摂ることで減ったエストロゲンの働きを補うことが出来ます。

腸や腎臓で発生するアンモニアは、肝臓で分解されます。しかし、加齢や脂肪肝で肝機能が低下してしまうと、分解出来なかったアンモニアが血液中に広がってしまい、周囲の物事への無関心や不眠といった症状を引き起こします。セサミンを摂取することで、肝機能が回復し、アンモニアの分解が正常に行われますので、これらの症状は改善されます。

セサミンの精神安定効果を高めるために、「セサミンを毎日欠かさずに摂ること」「活性酸素を発生させるタバコ、紫外線などは避ける」といった点に注意しましょう。

セサミンと一緒に配合される栄養素の中でもDHA、EPA、ギャバなどには精神安定効果があります。これらとセサミンがミックスされたサプリメントを飲むことで相乗効果が期待出来ます。

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