セサミンと活性酸素

シミの改善、ガン予防、精神安定など、多くの効能を持つセサミンですが、その効能の大半は活性酸素に関連するものです。セサミンと活性酸素の関係について詳しくご紹介します。

活性酸素とは

「活性酸素で細胞がダメージを受ける」「健康のためには活性酸素を除去することが重要」などとよく言われます。ヘルスケアのサイトを見ても、活性酸素は頻繁に出てくるワードです。しかし、活性酸素が具体的にどのようなものかと問われると、答えに窮してしまう人が多いのではないでしょうか。

まず、活性酸素とは何でしょう?

ヒトを始めとして、生物が生きるためには酸素が必要です。これは、炭水化物を分解してエネルギーを得る過程(代謝)で酸素が必要となるからです。

しかし、金属のサビで有名な「酸化」という現象を起こすように、酸素は非常に反応性の高い物質です。代謝を行うために大量に酸素を取り入れる際に、一部の酸素はより反応性が高い活性酸素となります。

「活性酸素」と一口に言いますが、実は酸素がより反応性の高い化合物に変化したもの、の総称なのです。

一般的に活性酸素と呼ばれる化合物には

・ヒドロキシルラジカル
・スーパーオキシドアニオンラジカル
・過酸化水素
・一重項酸素

の4種類があります。

酸素分子に不対電子という電子が結びつくことで、スーパーオキシド→ヒドロキシルラジカル→過酸化水素の順に生成します。

酸素分子から最初に生成するスーパーオキシドは体内の一酸化窒素(NO)と反応して、その役割を無効化してしまいます。一酸化窒素は人体で血管の拡張や記憶形成への関与など重要な役割を持つ物質ですから、スーパーオキシドのせいで欠乏してしまうと様々な悪影響があります。

スーパーオキシドから生成するヒドロキシルラジカルは最も反応性が高く、活性酸素によるダメージの大半は、このヒドロキシルラジカルによるものです。

ヒドロキシルラジカルから生成される過酸化水素は、それ自体の反応性はそこまで高く無いのですが、光や体内の金属イオンによって分解されてヒドロキシルラジカルを生じます。
一重項酸素は、紫外線を浴びた際などに、体内の色素と反応して発生することがあります。一重項酸素も他の活性酸素と同じように、細胞や組織を破壊します。

厳密な意味での「活性酸素」はこれら4種類の物質なのですが、これらを生み出しやすい物質も広い意味では「活性酸素」と呼ばれています。そのような物質としては、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO₂)、オゾン(O₃)、そして狭義の活性酸素によって脂質が酸化されることで発生する過酸化脂質などがあります。

活性酸素によってコレステロールや中性脂肪が酸化されると、過酸化脂質となります。この過酸化脂質は細胞内でスーパーオキシドアニオンを発生して、核内のDNAを損傷させます。DNAは細胞分裂のための設計図ですから、これが破損してしまうと正常な細胞が生み出せなくなってしまいます。この過酸化脂質によるDNAの損傷が、ガンの主要因であるといわれており、それ以外にも血管内膜でアテローム性動脈硬化症の原因となることが判明しているため、過酸化脂質は医学的に危険視されている物質です。

活性酸素は細胞1個につき1日あたり約10億個発生し、細胞内のDNAを数万から数十万箇所も損傷させます。活性酸素による膨大な数の損傷箇所は、DNA修復機構によって即座に修復されます。DNA修復速度>活性酸素による損傷発生の頻度、つまり活性酸素による損傷が発生する件数がDNAの修復速度を上回らない限りは、身体に重大な異変が起こることはありません。

「活性酸素=悪」ではない

活性酸素が人体に及ぼす悪影響を見て来ましたが、実は活性酸素は必ずしも人体に対して悪い面しかないというわけではありません。活性酸素の持つ高い反応性は、外部から進入した微生物や毒物を排除するのに役立ちます。

好中球やマクロファージといった白血球は体内の異物・毒物を認識し、取り込んで分解しますが、この分解の際に活性酸素が利用されます。細菌は、白血球に取り込まれた後も、増殖しようとしますので、活性酸素の強力な反応性が必要となるのです。

ガンの放射線治療においても、ガン細胞に放射線を照射した際に、ガン細胞の周囲の酸素が活性酸素となることにより、ガン細胞にダメージを与え、治療の効果を高めます。また、これに加えて活性酸素を利用した医薬品の研究も行われていますから、活性酸素は一概に人体に不必要な毒物というわけではないのです。

抗酸化物質とは

活性酸素が人体に有益な場合もあるとはいえ、基本的には人体に有害な物質です。この活性酸素と反応することによって、その破壊活動を防止する働き(抗酸化作用)を持つ物質を抗酸化物質と呼びます。抗酸化物質として有名なものには、ビタミンCやビタミンE、ビタミンA、グルタチオン、β-カロチンなどがあります。

どの種類の活性酸素を無効化するかというのは、抗酸化物質の種類によって異なります。例を挙げるならば、ビタミンCはヒドロキシルラジカル以外の3種類の活性酸素を除去しますし、ビタミンEはヒドロキシルラジカルや一重項酸素に、グルタチオンはヒドロキシルラジカルに効果があります。

また、抗酸化物質と同じように活性酸素を除去する酵素というものもあり、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼなどが知られています。

セサミンと活性酸素

セサミンも先ほど見た「抗酸化物質」の一種で、抗酸化作用を持っています。セサミンの抗酸化作用は、広義の「活性酸素」である「過酸化脂質」を無効化するものです。

過酸化脂質が他の活性酸素に比べて厄介な点は、活性酸素によって脂質が酸化されて過酸化脂質が発生し、近くにある脂質を酸化し始めるというように、連鎖的に発生し、どこかで断ち切られない限り際限なく発生し続けてしまうという点です。セサミンは過酸化脂質の生成反応を断ち切るため、過酸化脂質の新たな発生を防止することが出来ます。

セサミンの持つ効能の大半は、この過酸化脂質に対する抗酸化作用によるものであり、次のようなものがあります。

・ガン予防(特に肝臓ガン)
・動脈硬化症の予防・改善
・シミ予防・改善
・うつ病予防・改善
・脂肪肝の予防・改善

セサミンの、他の抗酸化物質に比べて特筆すべき点は、「肝臓で吸収され、肝臓をメインに抗酸化作用を発揮する」ということです。人体で発生する活性酸素の8割は、代謝を行う器官である肝臓で発生します。肝臓で発生した大量の活性酸素は、肝臓の脂質(肝臓は脂質の分解・輸送を行うため、大量の脂質があります)を酸化して、過酸化脂質に変えてします。この過酸化脂質によって、肝組織が破壊されて、肝機能が低下したり、肝臓がんになったりします。

ビタミンCやビタミンEなど、他の抗酸化物質にも強力なものはありますが、肝臓の活性酸素・過酸化脂質に対してセサミンほど効果的な抗酸化物質はありません。肝臓ガンや脂肪肝が心配な人には特におすすめの栄養素といえるでしょう。

まとめ

セサミンの持つ様々な効能の大半は、セサミンの抗酸化作用によるものです。酸素の反応性がより高くなった「活性酸素」には、ヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素や、それらによって酸化されて生じた過酸化脂質などがあります。活性酸素は周囲の細胞や組織を傷つけ、ガンや動脈硬化症の原因となります。

活性酸素と反応することで、無力化する(抗酸化作用)物質のことを抗酸化物質といい、セサミンも抗酸化物質の一種です。抗酸化物質によって、どの種類の活性酸素に効果があるかは異なり、セサミンは過酸化脂質の生成を防止するタイプです。セサミンの吸収が行われ、その後の活動の場となる肝臓は、代謝活動を行うために大量の活性酸素が発生する器官です。肝臓で大量に発生する活性酸素(過酸化脂質)に対処できる抗酸化物質としては、セサミンの右に出るものはありません。肝臓ガンや脂肪肝といった肝臓の活性酸素が原因となる病気が心配な人はぜひセサミンを摂るようにしましょう。

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