ローヤルゼリーとセサミン

ゴマの栄養素セサミンは、肝臓の代謝機能を活発にしたり、シミやしわ、ガンを予防したりするなど様々な効能で知られていますが、そのセサミンとよく一緒に配合される栄養素の一つに、ローヤルゼリーがあります。ローヤルゼリーと言えば、はちみつに多く含まれている栄養素として人気があり、ご愛用の方もいらっしゃるかもしれません。ローヤルゼリーの効能やセサミンと共に摂るメリットなどを見ていきましょう。

ローヤルゼリーとは

ローヤルゼリーは、ミツバチが花粉や蜂蜜を食べて作り出した乳白色・クリーム状の物質です。ローヤルゼリーは、たんぱく質や糖分、脂肪、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、女王蜂がこれを食べます。女王蜂は幼虫時代から栄養満点のローヤルゼリーを一生食べて育つのですが、働き蜂の幼虫は生後3日までしかローヤルゼリー(厳密には栄養価がローヤルゼリーよりも低い「ワーカーゼリー」)を食べることができず、その後は蜂蜜と花粉で育ちます。働き蜂が数十日しか生きられないのに対し、女王蜂が数年間も生きられるのは、ローヤルゼリーの豊富な栄養によるものだと考えられています。

ローヤルゼリーが健康に良い素材として注目を浴びたのは、1954年にローマ法王ピオ12世を、肺炎による危篤状態からローヤルゼリーが救ったことがきっかけでした。当時の最新医療をもってしても治らない法王の病態を前に、なすすべがない医師達が最後の望みを託したのがローヤルゼリーだったのです。回復した後で法王は、「神の小さな創造物」「私はローヤルゼリーのおかげで助かった」とローヤルゼリーを讃えたといいます。

国内で販売されているローヤルゼリーは、「生ローヤルゼリー」「乾燥ローヤルゼリー」「調整ローヤルゼリー」の3種類があり、その違いは次の通りです。

・生ローヤルゼリー・・・ミツバチの巣から移虫(女王蜂の幼虫を巣から移すこと)後、72時間以内に採取されたローヤルゼリー

・乾燥ローヤルゼリー・・・生ローヤルゼリーを凍結乾燥などの方法で乾燥させたもので、生ローヤルゼリーの成分のうち、水分のみを除いている

・調製ローヤルゼリー・・・生ローヤルゼリー・乾燥ローヤルゼリーに乳糖や蜂蜜などを加えて調製し、重さの1/6以上を原料のローヤルゼリーが占めるもの

ローヤルゼリーの成分

ローヤルゼリーには、リジンやメチオニン、スレオニンといったアミノ酸やグルコース、フルクトースなどの糖類、ビタミンB1・B2、葉酸(ビタミンB9)、ナイアシン(ビタミンB3)といったビタミンBを中心とするビタミン類、カリウム・リン・マグネシウムなどのミネラル類、脂肪酸(デセン酸)など数多くの栄養素が含まれています。

そして、これらの栄養素以外にもロイヤラクチンと言う、ローヤルゼリーに固有のタンパク質が2011年に発見されました。ロイヤラクチンは、幼虫を他の働き蜂とは違う、女王蜂へと変化させる物質として注目されています。このように、ローヤルゼリーはまだまだ未解明の栄養成分がある可能性が高いのです。

ローヤルゼリーの効能

ローヤルゼリーの効能として、実証されているものは次のようになります。

・冷え性の改善
・肩こりの改善
・耳鳴りの改善
・高血圧の改善・予防
・骨粗しょう症の改善・予防
・(初期の)糖尿病の改善
・筋力低下の予防
・不定愁訴の改善
・血中コレステロール値の改善
・抑うつ状態の改善
・抗菌作用・外傷治癒(口から摂取するのではなく、塗る場合)
・肥満改善・予防
・抗アレルギー作用

このように、効果が明らかにされているものだけでも数多くに上るローヤルゼリーには、目を見張るものがありますね。

ローヤルゼリーとセサミンの共通点・相違点

ローヤルゼリーとセサミンに共通する効能としては、

・冷え性の改善
・高血圧の改善・予防
・血中コレステロール値の改善
・抑うつ状態の改善
・肥満改善・予防

などがあります。高血圧や血中コレステロールを改善することは、結果的に重篤な心疾患(脳梗塞、心筋梗塞など)を予防することになりますので、セサミンとローヤルゼリーは共に「心臓病に効く栄養素」ということになります。また、抑うつ状態(うつ病)や肥満といった現代人に身近な症状に効果があるというのは、心強いものですね。

他にも、ローヤルゼリーに多く含まれているビタミンBには、セサミンと同じく抗酸化作用(人体に有害な活性酸素を除去する働き)があることが判明していますので、老化現象の原因とも言われる活性酸素の除去にも効果が期待できます。

一方、セサミンとローヤルゼリーの相違点ですが、まずセサミンが単一の栄養素であるのに対して、ローヤルゼリーは多種多様な栄養素で構成されている物質です。そのためローヤルゼリーの効能を考える際に、「ローヤルゼリーの中のどの栄養素によるものか」という視点は欠かせません。

また、先ほどはセサミンとローヤルゼリーに共通する効能を挙げましたが、肩こりや耳鳴り、骨粗しょう症の改善など、ローヤルゼリーには、セサミンにはない効能が数多くあります。そしてセサミンの方にも、肝臓の機能を活発化したり、ガンを予防したりといった、ローヤルゼリーにはない効能が多くあります。

ローヤルゼリーとセサミンを同時に摂ると

市販されているセサミンのサプリメントの大半は、他の栄養素がミックスされている製品です。その中でもローヤルゼリーが配合されているものは人気があります。セサミンとローヤルゼリーがミックスされたサプリメントを摂取することは、セサミンやローヤルゼリーを単体で摂ることに比べて何かメリットはあるのでしょうか?

まず挙げられるのは「セサミン、ローヤルゼリーをそれぞれ単独で摂る場合よりも数多くの効能が得られる」ということです。上でも述べたように、セサミンとローヤルゼリーは、それぞれお互いが持っていない効能を持っています。そのため、一緒に摂ることによって数多くの効能を得ることができ、身体の様々な症状をカバーすることができます。

また、セサミンとローヤルゼリーの効能の中にはかぶっているものも多くあります。セサミンとローヤルゼリーに共通する効能は先ほどご説明したように、「冷え性の改善」「高血圧の改善・予防」「血中コレステロール値の改善」「抑うつ状態の改善」「肥満改善・予防」などがありますが、それらの相乗効果を望むことができます。特に高血圧や血中コレステロール値に対する効能は、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる心臓病の予防に繋がりますから、相乗効果によるメリットははかり知れません。

サプリメントを選ぶ際に、セサミンにはない効能を持つ栄養素が配合された、製品を選ぶという考えもあります。そういう意味では、ローヤルゼリーはまさにうってつけの栄養素ではないでしょうか。

まとめ

ゴマの栄養素セサミンのサプリメントに、ミックスされることが多いローヤルゼリーには、セサミンに負けないほど多くの効能があります。ローヤルゼリーはミツバチが、蜂蜜や花粉から作り出す乳白色・クリーム状の物質です。このローヤルゼリーを食べることができるのは生まれたての幼虫と女王蜂だけで、女王蜂はローヤルゼリーの栄養によって、働き蜂の10倍以上も長生きします。そんなローヤルゼリーは、20世紀に危篤に陥ったローマ法王を救ったことで注目されることになりました。

ローヤルゼリーにはアミノ酸や糖類、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれており、まだまだ未解明の栄養素が発見される余地もあります。ローヤルゼリーの効能は数多くあり、そのうち有名なものだけでも高血圧やコレステロール値の改善、骨粗しょう症の改善、筋力低下の予防、抑うつ状態の改善などが挙げられます。

ローヤルゼリーとセサミンに共通する効能には、高血圧・コレステロール値の改善や冷え性の改善、肥満予防などがあり、ローヤルゼリーとセサミンをサプリメントで一緒に摂ることで、これらの相乗効果を望むことができます。また、セサミンもローヤルゼリーも、ともに互いの持っていない効能があるので、一緒に摂ることでより幅広く身体の問題をカバーすることができます。

関連コラムcolumn