有機栽培のセサミン

ゴマの栄養素セサミンは、肝機能の向上やガン予防、動脈硬化予防など様々な効能で知られています。セサミンを摂る方法にはゴマそのものやゴマ油、サプリメントなどがありますが、中には有機栽培のゴマを原料とする製品もあります。有機栽培のゴマは、そうでないゴマに比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?有機栽培とセサミンの関係について見てみましょう。

ゴマの産地

ゴマの原産地はアフリカ東部で、栄養価が高いことから食用や薬用で重宝され、紀元前から栽培が行われてきました。貿易で世界中に広がったゴマは、奈良時代の頃には日本でも広く栽培される作物でした。ゴマの主要生産地はアジア、アフリカ、南アメリカに分布しており、中国、インド、ミャンマーの3カ国がゴマの三大産地と呼ばれています。

有機栽培とは?

有機栽培とは「化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使用しないで、環境への負担を出来る限り軽減させた農業」のことです。化学肥料や農薬による環境汚染、遺伝子組み換え食品への安全上の懸念などから、先進国を中心に、有機栽培の需要は年々高まっています。

国内で栽培された有機作物は、有機JAS認定機関による認定を取得しなければ、「有機」や「オーガニック」と表示することが出来ません。過去2年間の農薬、化学肥料の不使用に加え、遺伝子組み換えの種子の不使用、貯蔵や輸送の過程で非有機作物が混入しないことなど、厳しい基準が設けられています。

有機栽培の取り組みは、EU諸国で盛んであり、ドイツでは農業全体の約5%を、イタリアでは全体の1割近くを占めています。しかし日本はまだ有機栽培の取り組みが始まったばかりで、農業全体の約0.2%の水準となっています。

海外と日本の有機栽培のゴマの割合

有機栽培のゴマの割合は、それほど高いものではありません。なぜならゴマの主要生産地は発展途上国が多いからです。ゴマに限った話ではありませんが、発展途上国では、作物の残留農薬を問題視する以前に、収穫量や効率が優先されますから、害虫駆除などに人手がかかる有機栽培は盛んではありません。そのため、どうしても有機栽培のゴマのほうが、価格が高くなってしまいます。

江戸時代までは、ゴマの国内自給率は100%でした。しかし、現在では自給率は0.1%以下の低水準となっています。このような状態ではありますが、海外産の安いゴマに価格面で対抗出来ない分、安全性を売りにしようと有機栽培をする農家が多いため、国産のゴマの中から有機栽培のゴマを見つけることは比較的容易です。

国産の有機栽培のゴマを「有機ゴマ」といい、有機JAS認定機関によって認定が行われています。2年間以上の化学肥料・農薬の不使用の畑で育てられ、遺伝子組み換えでないゴマだけが、「有機ゴマ」の認定を受けることが出来ます。有機ゴマを加工する際にも、有機ゴマだけを取り扱う認定工場で加工するため、非有機ゴマが混入する心配はありません。

市販のゴマ製品の原料は?

市販のゴマ製品の原料は、どのようなゴマが多いのでしょうか?

まず、市販の炒りゴマはほとんどが、中国やスーダン、ブラジルといった海外産です。ゴマ油についても同じことが言えます。そしてサプリメントですが、こちらは国産ゴマを使用する製品も多くなってきます。健康のために摂るサプリメントでは、「国産」「有機栽培」は大きなアピールポイントなのです。

このように、有機栽培のゴマやゴマ油を探すことが難しいのに対し、サプリメントでは比較的容易に有機栽培製品を見つけることができます。

有機栽培のゴマのメリット

有機栽培のゴマは、農薬使用のゴマに比べて何かメリットはあるのでしょうか?

ゴマの栄養価を考えると、同一品種では有機栽培のゴマと農薬使用のゴマにあまり差はありません。ゴマの品種によっては、セサミンや他のゴマリグナン類の含有量に大きく差がありますが、ゴマの栽培法では栄養価に大きな違いは出ないのです。

セサミンの含有量に着目するならば、栽培法よりも品種で選ぶべきだと言えるでしょう。

また、サプリメントに含まれるセサミンのレベルにまでなると、有機栽培のゴマと農薬使用のゴマに変わりはありません。ゴマのセサミン含有量の違いにより、効果に差は出るでしょうが、セサミンは1種類しかない物質ですから、セサミンそのものの効果は原料に関わらず一定であるからです。有機栽培だからといってより効果があるセサミンが入っているなどと勘違いしないように気をつけましょう。

栄養価では、有機栽培ゴマも農薬使用のゴマもあまり変わりがありませんでしたが、安全性では有機栽培ゴマに軍配が上がります。有機栽培ゴマは、そもそも残留農薬のリスク自体がありません。ゴマの産地で使用される農薬は数百種類に及び、中には日本では考えられない毒性の農薬が使われている国もあります。日本に輸入される時点で残留農薬の検査は行われますが、それでも不安は完全には拭えません。大手サプリメーカーでも、海外産ゴマの残留農薬検査には特に力を入れているほどです。このように、安全性を第一に製品を選びたいという方は、有機栽培のゴマを原料とする製品を選べば良いのですね。

まとめ

ゴマの主要産地はアジア、アフリカ、南アフリカにまたがっており、その多くは発展途上国です。発展途上国では人手がかかり効率が悪い有機栽培はあまり人気がありません。そのため、ゴマの国内自給率0.1%以下の日本では、販売されているゴマ製品の大半が、有機栽培ではないゴマを原料としていることになります。しかし、「国産」「有機栽培」といった要素が強いアピールポイントとなるサプリメントにおいては、国産・有機栽培のゴマを原料とする製品がいくつも販売されています。

国産の有機栽培のゴマは「有機ゴマ」として、有機JAS認定機関から認定を受けなければ、販売することは出来ません。そのため、有機栽培の国産ゴマを探す時には、「有機ゴマ」の認定マークがついているかを確認すれば良いのです。

有機栽培のゴマのメリットですが、栄養価の面では農薬使用のゴマに比べてそれほど変わりはありません。ゴマの栄養価は、栽培法よりも品種によってだいぶ変わってくるからです。

しかし、安全性では断然、有機栽培のゴマのほうが優れています。海外産のゴマの中には危険な農薬を使用している国などもありますから、少しでも安全面に不安を残したくないという方は、有機栽培のゴマを選ぶのがおすすめです。

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