セサミンとビタミンEの相乗効果

ゴマの栄養素セサミンの効能といえば強力な抗酸化作用です。同じように抗酸化作用で知られる栄養素にビタミンEがありますが、実はセサミンとビタミンEを一緒に摂ると相乗効果も期待出来るのです。セサミンとビタミンEの関係をご紹介します。

ビタミンEとは

生物が生きていく上で微量を必要とする栄養素のうち、炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称がビタミンです。

ビタミン~という場合は、1つの物質を指すのではなく、ある機能を持つ栄養素をまとめて名付けられています。そのためビタミンEという物質が存在するわけではありません。

ビタミンEはα-トコフェロールやβ-トコフェロール、γ-トコフェロールなどの数種類のトコフェロールという物質からなり、その中でもα-トコフェロールが人体に最も強く作用します。ですのでビタミンEの1日の摂取目安量などはα-トコフェロールをもとに算出してあります。

ビタミンEはひまわり油や紅花油、とうもろこし油といった植物性の油脂やアーモンド・落花生・大豆といった種実、キャビアやイクラなどの魚卵、青魚やマヨネーズ、アボカドなどに多く含まれています。

ビタミンEの主な効能は抗酸化作用です。他の抗酸化物質と同じように、活性酸素などの有害な物質と反応して無効化し、脂質の酸化や周囲の細胞の破壊を防ぎます。ビタミンEは主に細胞表面の細胞膜で抗酸化作用を発揮します。

ビタミンEはこの抗酸化作用によって、細胞膜の酸化による老化や血中のLDLコレステロールによる動脈硬化を防ぐとされています。

ビタミンEが欠乏した時に起こる症状として、感覚障害や運動失調、構音障害などが挙げられますが、植物性の油に豊富に含まれているため、現代の食生活で欠乏することはほとんどありません。それに対してビタミンEを過剰に摂取した時には骨粗しょう症になってしまいます。ビタミンEは脂溶性ビタミン(水に溶けにくいビタミン)ですので、体内に蓄積されやすいビタミンです。そのため、過剰摂取は大変危険です。

ビタミンEの1日あたりの摂取目安量は成人男子で7mg、成人女子で6.5mgです。また、摂取量の上限は成人男子で800mg、成人女子で650mgとなっています。一目で分かるように、摂取目安量と摂取量の上限との間に大きな差があります。サプリメントをよほど飲み過ぎない限りは上限値には達しませんので、説明書通りの服用ならば過剰摂取のリスクを恐れる必要はありません。

セサミンとビタミンEの共通点

(1)抗酸化作用
セサミンとビタミンEの共通点として、まずは強い抗酸化作用が挙げられます。そして、抗酸化作用による効能(具体的には動脈硬化予防や老化防止、シミの改善・予防など)も似通っています。

(2)脂溶性
またセサミンもビタミンEも共に水には溶けにくい脂溶性の栄養素です。水に溶けにくい栄養素は溶けやすい栄養素に比べて簡単に排出されず、体内に残りやすい性質があります。

セサミンとビタミンEの相違点

(1)働く部位
セサミンとビタミンEの相違点ですが、まずセサミンとビタミンEでは主に働く部位が違います。

セサミンは肝臓の門脈で吸収された後、主に肝臓で働きます。それに対してビタミンEは小腸で吸収された後、肝臓・血管を通じて全身に運ばれて身体の各部位で働きます。

(2)副作用の有無
また、セサミンは過剰摂取しても重篤な副作用の心配はありませんが、ビタミンEの場合は骨粗しょう症のリスクがあります。同じようにセサミンは医薬品と併用しても副作用がないのに対し、ビタミンEは抗凝血剤や抗血小板剤といった医薬品と併用すると出血が止まらなくなるなどの副作用があります。

セサミンが多く含まれているのはゴマやゴマ油です。ビタミンEは植物性の油に多く含まれているのですが、残念ながらゴマ油には他の油に比べて僅かしか含まれていません。

セサミンとビタミンEの相乗効果とは

さて、セサミンとビタミンEの相乗効果ですが、これはセサミンとビタミンEを同時に摂ることにより両者に共通する抗酸化作用の効果が強まることを意味します。

「セサミンとビタミンEの相違点」で見たように、セサミンとビタミンEが抗酸化作用を発揮する部位は異なります。人体で発生する活性酸素の8割は肝臓で発生しますから、これは肝臓で働くセサミンによって対処することが出来ます。対するビタミンEは身体の各部位で活性酸素を除去します。セサミンも肝臓を通して身体の各部位に運ばれはするのですが、メインは肝臓ですから、他の部位はビタミンEによって活性酸素を除去する方が効率的です。

ビタミンEのみならば肝臓で発生する活性酸素に十分な対処が出来ませんし、セサミンのみならば肝臓以外の部位で発生する活性酸素への対処が不十分となってしまいます。セサミンとビタミンEの働く部位が異なることで全身の活性酸素にまんべんなく対処することが出来るのですね。

ビタミンEは細胞膜の酸化防止に特に効果を発揮する栄養素です。ですので動脈硬化や老化防止を目的としてセサミンを摂取する場合には、ビタミンEも併せて摂りたいものです。ビタミンEが配合されたセサミンのサプリメントも多く販売されていますからぜひ探してみてください。

まとめ

植物性の油や青魚などに多く含まれているビタミンEには、セサミンと同じく強い抗酸化作用があります。ビタミンEが欠乏することで感覚障害や構音障害が起きますが、現代の食生活で欠乏することはほとんどないとされています。一方、ビタミンEを過剰に摂取した場合には骨粗しょう症を発症してしまうため注意が必要です。また、抗凝血剤や抗血小板剤といった医薬品と併用しても副作用(出血が止まらなくなる)が出てしまうので気をつけましょう。

セサミンが主に肝臓で働くのに対して、ビタミンEは全身の各部位で抗酸化作用を発揮します。セサミンとビタミンEを同時に摂ることにより、肝臓で発生する活性酸素にはセサミンで対処し、身体の他の部位はビタミンEでカバーすることが出来ます。ビタミンEは特に細胞膜の酸化防止に力を発揮する栄養素ですから、動脈硬化予防や老化防止の目的でセサミンを摂る人はぜひビタミンEも同時に摂るようにしてみてください。

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