野菜の和え物でセサミンを摂取

ゴマに含まれるセサミンは、肝臓の代謝促進、ガン予防、シミやしわの予防・改善など様々な効能で知られる栄養素です。手軽にセサミンを摂ることができるサプリメントなんかも販売されていますが、「料理を通じてもセサミンを摂取したい」「サプリメントは味気なく感じる」という方もいらっしゃるでしょう。今回は「野菜の和え物」という形でセサミンを摂る方法についてご紹介していきます。

ゴマでセサミンを摂る

セサミンの1日あたりの摂取量の目安は10mgとされています。この量を摂るために必要なゴマの量は約3000粒、大さじ1杯、重さで約10gとなります。

市販されているゴマは、白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマの3種類あり、それぞれ次のような特徴があります。

白ゴマ・・・他の食材の味を邪魔しないあっさりとした味です。白和え、ごま豆腐などに向いています。

黒ゴマ・・・黒ゴマ特有の風味の強さがあり、ゴマの風味を強調したい料理に向いています。乳製品と組み合わせる料理が多いです。

金ゴマ・・・白ゴマ、黒ゴマに比べて香りが強く、旨みもあるため高級品という位置づけです。和え物やふりかけに用いられます。

セサミンの含有量については、ゴマの種類(白ゴマ・黒ゴマ・金ゴマ)というよりも品種によって変わってきます。しかし、ゴマは米やリンゴと違って、品種別のブランド化が進んでいない農作物ですので、市販品に品種名が記載されていることはほとんどありません。ひとまずは、市販品のゴマには1gあたり1mgのセサミンが含まれていると考えておいて問題ないでしょう。

和え物にかけるのはすりゴマがベスト

ゴマを料理に使う際には、練りゴマ、すりゴマ、そのままの形で用いるなどの方法がありますが、和え物の場合は、軽くすったものを用いることがほとんどです。ゴマの殻は固いため、ゴマをそのまま使う方法では、セサミンを十分に吸収できないことがあります。そのため、消化しやすいように、ゴマをすっておく必要があります。また、白和えの場合は、ペースト状の練りゴマを用いても良いでしょう。

ゴマとの和え物におすすめの野菜

ゴマと和えるのにおすすめの野菜としては次のようなものがあります。

・ホウレンソウ・・・緑黄色野菜の中でも鉄分が豊富に含まれており、さらに鉄分の吸収を助ける葉酸が含まれているため、貧血に効果があります。鉄分の他にもβカロテン、ビタミンC、ビタミンAなど抗酸化作用を持つ栄養素が含まれているため、同じく抗酸化作用を持つセサミンとの相乗効果を期待することができます。

・小松菜・・・鉄分がホウレンソウよりも多く、またビタミンAやカルシウムも豊富に含まれています。貧血や肌荒れなどにお悩みの方におすすめです。

・インゲン豆・・・カリウムやカルシウム、鉄分、亜鉛などのミネラルが豊富です。ミネラルの他にも、カルシウムの吸収を助ける必須アミノ酸リジンが含まれているため、ゴマに含まれる豊富なカルシウムの吸収もサポートしてくれます。

・白菜・・・カリウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンCなどのミネラルやビタミンがバランス良く含まれています。食物繊維も豊富ですので便秘に悩む人にもおすすめです。

・オクラ・・・ビタミンAやビタミンB1・B2、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどが含まれており、夏ばてや便秘・下痢などに効果があるとされています。また、オクラを刻んだ際に出てくる、ぬるぬるした粘り気は、ペクチン、ガラクタン、アラピンという食物繊維であり、コレステロール値を下げる働きがあります。コレステロール値を下げる働きはゴマのセサミンにもありますので、相乗効果が期待できるでしょう。

・キュウリ・・・栄養がほとんど無い野菜などとも言われるキュウリですが、塩分(ナトリウム)を排出するカリウムが比較的多く含まれており、高血圧に効果があるとされています。また、カリウムには利尿作用もあるため、むくみの解消にも効果があります。以前よく言われていた「キュウリはビタミンCを破壊する」という話は、間違いであったことが研究で判明したため、安心して食べることができます。

・ニンジン・・・ビタミンAの材料となるカロテン類が豊富に含まれており、中ぐらいのサイズのニンジン半分で、ビタミンAの1日あたりの摂取目安量を摂ることができるほどです。他にも、ビタミンB、ビタミンC、カルシウム、鉄分などを多く含むため、栄養価が特に高い野菜とされています。

・ピーマン・・・ビタミンCやビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンD、ビタミンPなど多くのビタミン類と共にカルシウムや鉄分なども含まれています。ビタミンCの吸収を助けるビタミンPを含んでいるため、ビタミンCを効率よく摂取することができます。風邪や肌荒れに悩んでいる方におすすめです。

・ごぼう・・・セサミンと同じ抗酸化作用に優れたクロロゲン酸が豊富に含まれていますクロロゲン酸は水に溶けやすいので、ごぼうを水に長くさらさないように気をつけましょう。また、食物繊維も豊富ですので便秘にも効果があります。

・エノキタケ・・・ビタミンBや食物繊維が豊富に含まれています。代謝を潤滑に進める栄養素であるビタミンBについては、1/2本程度で1日の必要量の1/5を摂れるほどです。また、エノキタケのEA6という糖タンパク質にはガン抑制効果があるので、セサミンの同じ効果との相乗効果が見込まれます。

野菜の和え物でセサミンを摂取する際の注意点

ゴマと野菜の和え物からセサミンを摂取する際には次のことに気をつけるようにしましょう。

(1) 野菜の水洗い・下ゆでに気をつける
セサミンは脂溶性(水に溶けにくく、油に溶けやすい)の栄養素なのですが、ゴマと和える野菜に含まれるビタミンなどの栄養素の大半は水溶性(水に溶けやすい)ですので、野菜を長時間、水にさらしたり、下ゆでをしすぎたりすると、栄養素が流れ落ちてしまいます。水洗いはよごれを落とす程度、下ゆではさっと火が通る程度で止めておきましょう。野菜の下ゆでができる電子レンジならば、そちらの方が栄養を逃がすことなく調理できます。また、下ゆでに用いたお湯をスープにすることで、お湯に溶けだした栄養素を摂ることもできます。

(2) 食事全体のカロリー・脂質に気をつける
ゴマと野菜の和え物でセサミンを摂ろうとする際には、意外にもカロリー・脂質に注意が必要です。実はゴマの成分の大半は脂質で、同重量の魚介類・肉類よりも高カロリーの食品なのです。

セサミンの1日あたりの摂取目安量(10mg)を、摂るためにはゴマ10gが必要で、カロリーは約60kcalです。和え物のゴマだけで60kcalもあるのですから、カロリーや脂質を制限している人は食事全体のバランスに注意する必要があります。ゴマに多くの脂質が含まれているといっても、ゴマの脂質はオレイン酸・リノール酸という、人体に必要な不飽和脂肪酸ですので、カロリーオーバーにならない限り、心配はありません。

まとめ

ガン予防や肝臓の代謝促進といった効能で知られる栄養素セサミンは、野菜のゴマ和えから摂ることができます。野菜にゴマを和える時には、消化効率が良いすりゴマが良いでしょう。

ゴマ和えにおすすめの野菜としては、ホウレンソウ、小松菜、インゲン豆、白菜、オクラ、ニンジンなどが挙げられます。これらの野菜は、ビタミンAやビタミンCといった、抗酸化作用を持つ栄養素が豊富なため、セサミンとの相乗効果が期待できるものもあれば、貧血や便秘といったセサミンがあまりカバーしていない方面に効果のあるものもあります。

野菜のゴマ和えを作る際には、水洗い・下ゆでの段階で野菜の栄養素が溶け出さないように気をつけましょう。また、ゴマは高カロリー・高脂質ですから、食事全体のカロリーバランスに注意するようにしましょう。

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