無農薬のセサミン

セサミンは、肝機能の向上やガン予防、更年期障害の改善など、様々な効能で人気がある栄養素です。セサミンを摂る方法には、ゴマやゴマ油、サプリメントなどがありますが、無農薬のゴマを選びたいという方もいらっしゃるでしょう。無農薬のゴマを原料とするセサミンについてご紹介します。

無農薬の栽培

作物を育てる上で、害虫の存在は大きな障害です。害虫による被害を抑える手段として、最もよく使われるのが農薬です。農薬は、害虫を防ぐ手段としては有効ですが、作物に農薬が付着したまま収穫される「残留農薬」の危険性や、農薬が土壌を汚染して環境を破壊したり、土地の収穫率が下がったりするなどの問題があります。そのため、農薬を使用せずに作物を育てる無農薬の栽培が、農業全体で注目されています。

無農薬栽培と有機栽培は混同されがちですが、厳密には両者は同じではありません。有機栽培では、農薬だけでなく、化学肥料や遺伝子組み換え技術も使用しません。環境への負担を徹底的に抑えているのが有機栽培なのです。しかし、残念ながら日本における有機栽培の普及率は農業全体の0.2%程度です。農薬以外にも化学肥料と遺伝子組み換え技術まで使用しない有機栽培を行うのは大変なことですが、これに比べると無農薬で栽培をすることはまだ容易ですので、有機栽培よりも普及率はやや高いと考えられます。

無農薬のゴマは多い?

無農薬で栽培されているゴマは多いのでしょうか?

ゴマの主要産地は中国、インド、ミャンマーの三大産地に加えて、タンザニア、ナイジェリアなどアジア、アフリカ諸国に分布しています。ゴマの自給率が0.1%以下の日本では、市販のゴマやゴマ油、サプリメントに用いられているゴマの大半が海外産です。ゴマの産地は発展途上国が多いため、効率の悪い無農薬栽培や有機栽培はあまり行われません。海外産のゴマで、無農薬栽培のゴマというのは、無農薬を売りにしたブランドでもない限り、見つけることは難しいでしょう。

一方、生産量が少ない国産のゴマの場合は、無農薬栽培のものが、海外産のものよりも簡単に見つけられます。なぜなら、国産のゴマは価格の面で海外産のゴマに敵わないため、無農薬栽培や有機栽培、高栄養価の品種などを売りにする必要があるからです。特にサプリメントでは、「国産ゴマ使用」「無農薬栽培」「有機栽培」などのキーワードが付いたサプリメントが数多くあります。

有機ゴマを選べば安心

上でもご説明したように、無農薬栽培と有機栽培は厳密には異なり、有機栽培では、農薬だけでなく化学肥料や遺伝子組み換え技術も使用しません。そのため、「無農薬」ではなく「有機栽培」と表示されている製品を買っても、結果的には無農薬栽培のゴマを買うことになります。

「有機栽培」されたゴマという表示をすることが出来るのは、有機JAS認定機関の厳しい審査をクリアしたゴマだけです。少なくとも2年間は農薬・化学肥料を使用していない土地で農薬・化学肥料不使用で育てられた、遺伝子組み換えでないゴマだけが審査を通過します。この際、加工の過程で非有機栽培のゴマが混入しないように、認可を受けた工場でしか加工は行えないことになっています。

「無農薬」と表示された製品が無くても、「有機栽培」「有機ゴマ」と書かれた製品を買えば問題ないのですね。

無農薬のゴマのメリット

無農薬栽培のゴマのメリットとは何でしょうか?

無農薬栽培のゴマの最大のメリットは安全性です。農薬を使用していないので、残留農薬のリスクはゼロです。それに対し、農薬使用のゴマは残留農薬の危険性がありますし、海外産のゴマでは、日本で認可されていない農薬が使われている可能性もあります。ゴマを日本に輸入し、サプリメントなどに加工する段階で、数百種類もの農薬検査などを行っているメーカーもありますが、少しでも不安を残したくないという人は、無農薬栽培のゴマを選ぶべきでしょう。

無農薬栽培(あるいは有機栽培)のゴマの方が、農薬を使用したゴマよりも栄養がある、という話を良く聞きます。しかし、これは事実ではありません。セサミンの含有量は、栽培法の違いよりも、品種の違いの方が大きく影響するからです。ですから、「無農薬栽培のゴマだから栄養価が高い」「無農薬栽培のゴマのセサミンの方が効果がある」といった宣伝文句に惑わされないようにしましょう。サプリメントを比較する際にも、効果を重視するのならば、セサミンの含有量に着目するのが重要です。

まとめ

残留農薬の危険性や環境汚染の問題から、無農薬栽培に注目が集まっています。無農薬栽培と有機栽培は厳密には異なり、農薬だけでなく、化学肥料と遺伝子組み換え技術も不使用の農法が有機栽培です。

日本はゴマの自給率が0.1%以下なので、消費量のほとんどを輸入に頼っています。海外産のゴマの産地では、効率性を重視して、無農薬栽培はあまり行われていません。それに対して、国産のゴマでは無農薬栽培のものを見つけることが比較的容易です。

有機栽培も農薬を使用しないため、「無農薬」と表示されていなくても、「有機栽培」「有機ゴマ」と記された製品を買えば、結果的には無農薬のゴマを手に入れることが出来ます。

無農薬栽培のゴマのメリットは、残留農薬のリスクが皆無であることです。少しでも不安を残したくない人は、無農薬栽培のゴマを選ぶべきでしょう。

「無農薬栽培のゴマの方が栄養価が高い」「無農薬栽培のゴマから採れたセサミンの方が効果がある」といった宣伝がありますが、セサミンの含有量は栽培法よりも、品種による違いの方が大きいですし、栽培法が違っても含まれるセサミンは同一の物質です。サプリメントの効果を判断したい時には、セサミンの含有量に注目するようにしましょう。

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