セサミンとウコン

セサミンはゴマに含まれる栄養素として、抗酸化作用や代謝促進、高血圧予防など の効能があることで知られています。セサミンのサプリメントは通常、セサミン単独ではなくセサミンと相性の良い栄養素とミックスされていることが多いです。その一つが今回ご紹介するウコンの有効成分であるクルクミンです。

ウコンはこんな植物

ウコンはショウガ科ウコン属の薬草で、原産地インドを始めとして東南アジアで広く栽培されています。インド医学やインド料理になくてはならない存在で、成分の一つであるクルクミンが産み出す鮮やかな黄色は、染料としても使われてきました。
ウコンの薬効成分としては、重量比約5%程度の精油成分(エッセンシャルオイル)と、 同じく重量比約5%程度のポリフェノール類(クルクミン)が知られています。

ウコンの有効成分(精油成分とクルクミン)

精油成分には胆汁分泌を促進するターメロンや、胆汁・胃液分泌を促進するシネオール、コレステロールを分解して高脂血症に有効とされる α―クルクメン、抗ガン作用のクルクモール、腫瘍を予防する β―エレメン、健胃や殺菌効果のあるカンファーなどの多くの有効成分が含まれています。

また精油成分と同等量含まれているとされるポリフェノール類とは、日本でも有名なクルクミンです。

ウコンの薬効成分といった場合、このクルクミンが代表例としてよく利用されます。

ウコンの薬効成分はクルクミンと精油成分ですが、その他にも食物繊維やデンプン、ビタミン C、カロテン、カリウム、鉄分などのミネラルが多量に含まれており非常に栄養素に富んだ薬草であると言えます。

クルクミンの効用

ウコンの代表的な薬効成分であるクルクミンは日本では主に肝臓のアルコール分解能の増進に効果が期待され、二日酔い対策のドリンク剤、錠剤に利用されています。 ほとんどの人のウコンのイメージは、このアルコールに関するものでしょう。

しかし、クルクミンの効用はそれだけではありません。抗腫瘍作用(ガンや腫瘍の増 殖・浸潤を防ぎ、弱体化・消滅させる働き)や、抗アミロイド作用(アミロイドの沈着を防ぐ働き)、抗炎症作用(炎症を抑える働き)、そして、セサミンも持っている抗酸化作用 (活性酸素や過酸化脂質の反応性を抑える働き)などが現在のところ見つかっています。セサミンと同じぐらいクルクミンも豊富な効用があるということで、ゴマもウコンも古くから重用されてきた理由が分かりますね。

セサミンとクルクミンを一緒に摂るメリット

(1)アルコール分解機能の向上
共に肝臓に作用してアルコール分解を促進するということで、セサミンとウコンのクルクミンは合わせてサプリメントとして販売されることが多いです。
セサミンのアルコール分解能促進は、肝臓でアルコール分解を司る ADH(アルコール脱水素酵素)と、ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)という 2 種類の酵素を活性化することによるものです。 一方クルクミンはまだ研究途上でどのようなメカニズムでアルコール分解能を増進させるのかは明らかになってはいません。 しかし、飲酒だけでなく食事も含めて消化器の働きを活発にする薬として古くから頼りにされてきましたし、効果を実証するデータもあります。この2つが揃えばお酒を好む人や最近肝臓が心配という人には持ってこいのサプリメントでしょう。

大抵のサプリメントの場合はウコン抽出クルクミンなどと銘打って、クルクミンとセサミンの組み合わせなのですが、中にはクルクミンだけでなく、精油成分なども含めたウコン抽出成分と、セサミンがミックスされたサプリメントもあります。

このタイプのサプリメントでは、精油成分のターメロンやシネオールの働きで胆汁や胃液の分泌が促進されますから、消化器系全般の働きが活発になり、アルコール分解だけでなく食欲増進などにも効果が期待出来ます。

(2)抗酸化作用の相乗効果
アルコール以外でも、セサミン・クルクミンが共通して持つ抗酸化作用は大いに期待出来るものです。セサミン同様、クルクミンも水には溶けにくいため、吸収は活性酸素の8割が発生する肝臓で行われます。肝臓で抗酸化作用を発揮して肝臓で発生した 活性酸素や過酸化脂質を除去し、脂肪肝も治してくれるのですから、肝臓向けのサプ リメントとしてこれほど心強い組み合わせはありません。

ウコン(クルクミン)摂取の注意点

注意して欲しいのがウコンに含まれている豊富な鉄分です。C 型肝炎やNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)といった一部の肝臓疾患の患者は、鉄分を多量摂取することで症状が悪化してしまうことがあります。ウコンからクルクミンのみを抽出したサプリメントではこの恐れはありません。

またクルクミンは、古くから薬草ウコンの成分として使われてきただけあって、副作用などの危険性はセサミン同様に低い安全な薬効成分です。しかし、抗血栓剤と併用した場合は効果が相乗されてしまい出血が止まらなくなってしまうため注意が必要です。

まとめ

様々な栄養素が含まれている薬草ウコンの代表的な栄養素がクルクミンです。クルクミンの効用ですが、日本でよく知られている肝臓のアルコール分解能力の増進以外にも抗腫瘍作用や抗アミロイド作用、抗炎症作用、ガン抑制作用、そして抗酸化作用など多岐に渡ります。肝臓のアルコール分解能力増進、抗酸化作用と同じ効用を持つセサミンとクルクミンは、一緒にサプリメントに配合されることもあります。セサミンとクルクミンの相乗効果が期待できるミックスのサプリメントは、お酒好きの人だけでなく肝臓が心配だったり、調子が悪かったりする人におすすめの強力なサプリメントです。

関連コラムcolumn