60代からの健康管理に欠かせないセサミン

ゴマの栄養素セサミンは、肝機能の向上や肥満予防など数多くの効能を持つことから人気がある栄養素です。
実はセサミンは、60代の健康管理に有効な栄養素でもあります。
セサミンが持つ高齢者向けの効能に焦点をあてて見ていきましょう。

セサミンとは

セサミンは、ゴマに含まれている栄養素であり、五大栄養素(人体に必須の5種類の栄養素;タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)ではなく、ポリフェノールに分類されています。
セサミンは、人体に有害な活性酸素(酸素が変化したもので、周囲の細胞や組織を傷つけ、ガンや老化の原因となります)を除去する「抗酸化作用」を持っており、肝臓を中心に全身の活性酸素を除去してくれます。
また、肝臓の機能を向上させたり、女性ホルモンの働きをサポートしたりと、サプリメントとして人気がある栄養素の中でも特に幅広く数多くの効能を持っています。

セサミンはイチョウやサンショウなどにも含まれていますが、身近な食品ではゴマやゴマ油、ゴマを加工した食品にしか含まれていません。

60代におすすめのセサミンの効能

セサミンの効能のうち、60代の方におすすめの効能としては、次のようなものがあります。

肝機能を向上・回復させ、滋養強壮に役立つ

普通、食事に含まれる栄養素は胃や腸から吸収されるのですが、セサミンの場合は肝臓の門脈と言う箇所から吸収されます。
門脈から吸収されたセサミンは肝臓へ運ばれ、代謝(食事で摂った栄養素を分解して人体に必要な物質を合成すること)や解毒(アルコールなどの毒物の分解)といった肝臓の働きを司る酵素の活動を活発化させ、肝臓の機能を高めてくれます。

脂肪肝とは

また、60代にもなるとこれまでの高カロリー・高脂質の食生活やアルコールの影響で脂肪肝となっている人も少なくありません。
肝臓が代謝活動を行う際には大量(人体で発生する活性酸素の約8割)の活性酸素が発生し、肝細胞にダメージを与えます。
活性酸素によって傷ついた肝細胞は、肝細胞としての機能を失い、それに従って肝臓の処理能力が落ちていきます。
すると、肝臓の処理能力を超えた脂質が肝臓内に蓄積していきます。
これが脂肪肝であり、脂肪肝がさらに悪化すると、肝硬変や肝臓ガンといった生命に直結する重大な疾患となってしまいます。
脂肪肝は、肝硬変や肝臓がんのような不可逆性(一度なってしまうと元には戻らないこと)ではなく、可逆性(元に戻ることもできる)であるため、病気と診断するほど深刻ではない症状とされていますが、肝臓の機能が低下していることで、食事の栄養をしっかりと吸収できなくなっているため、健康的な身体とは言い難い状態です。

脂肪肝を改善するセサミン

セサミンには、脂肪肝となって処理能力が落ちてしまった肝臓を回復させる働きもあることが、台湾の研究で判明しています。
そのため、セサミンによって元の肝臓の働きを取り戻すことで、食事の栄養をしっかりと摂れる健康的な身体を目指すことができます。
食事に含まれる栄養をしっかりと摂ることで、健康で丈夫な身体を作る、いわゆる「滋養強壮」には健康的な肝臓が必要不可欠であり、そのカギを握るのがセサミンなのです。

動脈硬化を予防し、高血圧を防ぐ

60代の方にとって、動脈硬化や高血圧は身近な問題です。
動脈硬化にはいくつか種類がありますが、一般的にLDLコレステロール、俗に言う「悪玉コレステロール」が大きく関わっていると見られています。
また、アテローム性動脈硬化というタイプの動脈硬化の直接的な原因は、LDLコレステロールの一部が活性酸素によって酸化されてできる「変性LDL」です。
動脈硬化を起こして弾力を失い、狭くなった血管が全身に増えることで、しだいに高血圧となっていきます。

後述しますが、セサミンにはLDLコレステロールを減らす働きがあるため、動脈硬化やそれに伴う高血圧を予防することができます。

中性脂肪値・LDLコレステロール値を下げる

LDLコレステロールや中性脂肪といった血液中の脂質が多すぎる状態が、かつては高脂血症と呼ばれていた脂質異常症です。
脂質異常症は、肥満やメタボリックシンドロームだけでなく、動脈硬化や高血圧、冠動脈疾患といった血管や心臓に関する病気の根本的な原因となります。

セサミンは血液中の中性脂肪やLDLコレステロールを減らす働きがあるため、肥満やメタボリックシンドロームを防ぐことができます。
肥満と高血圧・高血糖・動脈硬化が組み合わさったメタボリックシンドロームや、高齢者に多いとされるサルコペニア肥満(筋肉が減っているのに脂肪が増えている肥満)などは、単なる肥満に比べて代謝異常や動脈硬化が進んでいるため、心臓や血管の病気のリスクが高いとされています。
これらもセサミンの力で血液中の脂質を減らすことで防ぐことができます。

また、もう既に肥満状態だという人も、セサミンを摂って、血液中の脂質を減らしながら食生活の見直しを図ることによって、肥満を改善していくことができます。

うつ病を予防する

実は高齢者のうつ病「老人性うつ病」が問題となっています。
症状自体は通常のうつ病とあまり変わりがないのですが、不定愁訴(患者は主観的な症状を訴えるが、客観的な所見に乏しいため原因が不明で診断・治療しにくいもの)が加わるケースが多いのが特徴です。
1万人前後もの高齢者が毎年自殺をしているのも、この老人性うつ病が関係していると考えられています。

うつ病のしくみについては諸説ありますが、その一つに「自律神経の周辺で発生した活性酸素が原因」という説があります。
人間の身体の働きや興奮・安静状態の切り替えなどを、私たちが意識する・しないに関わらず調整してくれるのが自律神経です。
私たちが強いストレスを感じた時にも活性酸素は自律神経の周囲で発生し、自律神経の神経細胞を傷つけます。
活性酸素によってダメージを受けた自律神経は、正常に機能しなくなっていき、自律神経が調整していた身体や精神の働きにも影響が及びます。
これが、活性酸素が原因となったうつ病です。
老人性うつ病の引き金となるものは、退職や死別、独居など60代以上の方にとって身近な問題であり、これらによるストレスが生み出した活性酸素が、自律神経のバランスを乱しているのです。

上でもご紹介したようにセサミンには、「抗酸化作用」という活性酸素を除去する働きがありますから、セサミンを摂ることで、活性酸素による老人性うつ病を防ぐことができます。

しみ・しわ・たるみ・白髪・脱毛を防ぐ

紫外線を浴びた時に、皮膚の表面で活性酸素が生じます。
この活性酸素によって、メラニン産生細胞がダメージを受け、異常な状態になることで起こるのがしみであり、コラーゲンなどの肌を支える繊維がダメージを受け、弾力を失うことで起こるのがしわやたるみです。
また、頭皮において発生した活性酸素も、毛根にある毛母細胞やメラニン産生細胞を傷つけます。
こうして起こるのが白髪や脱毛などの髪のトラブルです。

肝臓で吸収されたセサミンは、血管を通じて全身を巡り、活性酸素を次々に除去していきます。
そのため、セサミンを摂ることでしみ・しわ・たるみといった肌のトラブルや白髪・脱毛と言った髪のトラブルを解消することができるのです。

セサミンと一緒に摂りたい栄養素

市販されているセサミンのサプリメントのほとんどは、セサミン以外の栄養素も配合されています。
それならば、配合されている栄養素もセサミン同様、60代向けの効能を持つ栄養素が良いですね。
60代の方におすすめの栄養素には次のようなものがあります。

・DHA・・・「魚を食べると頭が良くなる」と俗に言われるのは、青魚に大量に含まれるDHAが、人間の脳細胞の材料の一つだからです。
マウスを使った実験などで脳の働きを活発にすることが判明したため、認知症治療を含めて、脳機能の向上が期待されている栄養素です。

・トコトリエノール・・・ビタミンEの一種で、セサミンと同じく強力な抗酸化作用を持っています。
セサミンとともに摂ることによって、紫外線によるダメージを顕著に抑えることが分かっています

・アミノ酸・タンパク質・・・高齢者の場合、アミノ酸やタンパク質が不足しがちですから、これらが配合されたサプリメントもおすすめです。
セサミンのサプリメントに配合されることが多いのは、アルギニンやイソロイシン、グルタミン酸などです。

・カルシウムとビタミンD・・60代以降は骨粗しょう症に悩む人も増えていきます。
骨の材料であるカルシウムや、その吸収をサポートするビタミンDを摂ることで骨を丈夫にして、骨折のリスクを減らしましょう。

まとめ

ゴマの栄養素セサミンは、数多くの効能を持つことで知られていますが、60代の方におすすめの効能として次のようなものがあります。

  • ・肝機能を向上させたり、脂肪肝から回復させたりすることで、滋養強壮に役立つ
  • ・動脈硬化を予防し、高血圧を防ぐ
  • ・中性脂肪値・LDLコレステロール値を下げて、肥満やメタボリックシンドロームを予防する
  • ・老人性うつ病を予防する
  • ・肌のトラブル(しみ・しわ・たるみ)や髪のトラブル(白髪・脱毛)を防ぐ
60代の方がセサミンと同時に摂るべき栄養素として、脳機能を活発にするDHAやセサミンとの組み合わせで紫外線のダメージを顕著に抑えるトコトリエノール、高齢者に不足しがちなアミノ酸やタンパク質、カルシウムなどが挙げられます。

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