プロポリスとセサミン

ゴマに含まれている栄養素セサミンは、ガン予防や肝機能の向上など様々な効能で知られています。セサミンのサプリメントはビタミンCやDHAといったセサミンと相性の良い物質とミックスされることが多いのですが、プロポリスもそんな栄養素材の一つです。プロポリスとセサミンの共通点・相違点などをご紹介します。

プロポリスとは

プロポリスは、ミツバチが巣の小さな隙間を埋めるために使う樹脂状の物質で、木の芽や樹液などをミツバチが集めてきたものです。ミツバチ関連の栄養素材としては、ローヤルゼリーが有名ですが、こちらは花の蜜や花粉などから、ミツバチが体内で作り出すものです。それに対して、プロポリスはミツバチが「集めたもの」であり、ミツバチが作り出す物質ではありません。しかし、ミツバチによって何らかの物質が加えられている可能性もあるということで、研究が進められています。

プロポリスの主な役割は、巣の小さな隙間を塞ぐことですが、巣を病原菌や寄生虫から守ったり、外に捨てられない大きさの廃棄物(巣に侵入したトカゲやネズミの死骸など)を覆って腐敗しないようにしたりといった、巣の衛生状態を良くする役割も担っています。これは、植物の樹液や芽に含まれている抗菌作用のある物質の働きによるものです。

プロポリスを集める習性があるのは、セイヨウミツバチだけであり、さらに人工的にプロポリスを合成することができないため、蜂蜜やローヤルゼリーに比べて採取量が少ないのが特徴です。

プロポリスの効能

一般的なプロポリスの組成は、樹脂・バルサム(揮発性油脂に溶けた樹脂)約55%、ワックス約30%、油性物質約10%、花粉約5%となっており、微量成分も含めると300種類以上にも上るそうです。

上で述べているように、プロポリスの原料は、ミツバチが集めてくる芽や樹液ですから、植物の種類や産地によって、プロポリスの成分は大きく変わります。ヨーロッパ産や中国産のプロポリスは、ポプラの芽や樹液が主原料であるのに対し、ブラジル産プロポリスはキク科の植物を主原料としています。高温多湿の環境で、病原菌や寄生虫から巣を守る必要があるブラジル産プロポリスの方が、より強力な薬効成分を含んでおり、最高級品とされています。

プロポリスの主な薬効成分はフラボノイドです。フラボノイドは、植物に含まれる栄養素ポリフェノールの代表的物質であり、セサミンと同じく抗酸化作用(人体に有害な活性酸素を除去する働き)を持っています。

フラボノイドを中心とする薬効成分による、プロポリスの効能としては、次のようなものがあります。

・抗菌・抗ウイルス作用
・抗酸化作用
・抗炎症作用
・抗腫瘍作用(予防・改善・転移防止)
・抗肝毒性
・免疫調節作用
・鎮痛作用

これらを見れば分かるように、プロポリスには菌やウイルス、炎症や腫瘍を抑える働きや免疫を調節する働きがありますから、病気への抵抗力を強くしてくれます。抗肝毒性とは、肝臓の毒物・薬物代謝能力を上げてくれることですから、アルコールをよく飲む人や医薬品を常用している人の、肝臓への負担を和らげてくれます。

また、プロポリスの抗酸化作用とは、体内の有害な活性酸素を除去し、活性酸素が原因で起こるガンや老化現象を予防してくれるものです。抗酸化作用だけでも様々な種類の効能があるのですが、この抗酸化作用は、セサミンにもあるものですので、後述のセサミンとプロポリスを比較する際に詳しく見ていきます。

最高級とされているブラジル産のプロポリスには、原料のキク科植物由来のアルテピリンCやバッカリンといった桂皮酸誘導体やフラボノイドが豊富に含まれており、一般的な中国産プロポリスの約7500倍のアルテピリンC、約2500倍のバッカリン、約25倍のフラボノイド(6-メトキシケンフェライド)が含まれているとの報告もあります。

アルテピリンC、バッカリンは共に、強い抗ガン作用を示します。フラボノイドの抗酸化作用(ガン細胞の原因となる活性酸素を除去する)とこれらの抗ガン作用によって、ブラジル産プロポリスは、ガン予防に強力な威力を発揮してくれます。

セサミンとプロポリスの共通点・相違点

・共通点
セサミンとプロポリス(正確には主成分のフラボノイド)の共通点としては、まず「抗酸化作用を持つ」という点が挙げられます。人体に必要不可欠な酸素は、時折、人体に有害な活性酸素となって、周囲の細胞や組織を破壊し、ガン細胞化や機能の喪失を引き起こします。この活性酸素と反応して、除去してくれる働きが抗酸化作用であり、セサミンもプロポリスも共に、この抗酸化作用を持っています。抗酸化作用で、活性酸素が除去されることにより、期待できる効能には次のようなものがあります。

・ガン予防
・シミ・しわ予防・改善
・うつ病予防
・動脈硬化・高血圧予防

また、セサミンとプロポリス中のフラボノイドは共に、女性ホルモンのエストロゲンのサポートをしてくれる、「植物エストロゲン」に分類される栄養素です。エストロゲンは、女性の性機能の成熟や生理周期の調節を司る物質ですが、それ以外にも自律神経の調整や代謝・血行の促進など様々な働きをしています。閉経によって、このエストロゲンの分泌量が激減することで、身体に様々な不調が現れるのが更年期障害です。植物エストロゲンであるセサミン、フラボノイドを摂ることで、不足したエストロゲンを補い、更年期障害を予防・改善することができます。

・相違点
セサミンとプロポリスの相違点は、セサミンが単一の栄養素であるのに対し、プロポリスは複数の栄養素を含んでいる栄養食材であるという点です。上でも述べているように、プロポリスは産地や原料によって、含まれている栄養素の種類や量が大きく異なりますから、期待する効能を持つ成分が含まれているかどうかを、購入する際には確認する必要があります。

セサミンとプロポリスを同時に摂る事のメリット

セサミンとプロポリスを共に摂る事のメリットとは何でしょうか?

先ほど見たように、プロポリスの主な栄養素であるフラボノイドと、セサミンには活性酸素を除去する抗酸化作用という働きがあります。そのため、ガン予防、動脈硬化予防といった抗酸化作用による効能を、相乗効果によって片方だけ摂る場合よりもより強く得ることができます。

また、フラボノイドが小腸から吸収されるのに対し、セサミンは肝臓から吸収されます。セサミンもフラボノイドも共に、吸収後全身に行き渡り、活性酸素を除去していくのですが、セサミンは肝臓で吸収されるため、主に肝臓で活性酸素の除去を行います。人体で発生する活性酸素の約8割は、肝臓の代謝活動で発生するため、セサミンを摂ることで、活性酸素の大半を除去することができます。しかし、紫外線を浴びた皮膚や強いストレスによって神経周辺で発生した活性酸素などに対応するには、セサミンだけでは心もとないため、同じ抗酸化作用を持ち、肝臓でそれほど消費されないフラボノイドを飲むことで、全身の活性酸素に満遍なく対応できます。

他にも、最高級品とされているブラジル産プロポリスに含まれているアルテピリンC、バッカリンといった栄養素による抗ガン作用と、セサミンやフラボノイドの抗酸化作用によるガンの予防効果が同時に働くことで、より効果的にガン予防を行うこともできます。

さらに、プロポリスには、セサミンにはない抗菌・抗ウイルス作用や抗炎症・抗腫瘍作用、免疫調節作用などがありますし、セサミンもプロポリスにはない肝機能の向上や血中コレステロール値の低下といった効能を持っています。両者を共に摂ることで、身体の病気・怪我への抵抗力・治癒力を高めつつ、ガンや動脈硬化といった重篤な病気を有効に予防していくことができるのです。

まとめ

プロポリスは、ミツバチが巣の隙間を塞ぐのに用いる樹脂状の物質で、原料は木の芽や樹液などです。そのため、プロポリスは産地によって成分が大きく異なります。プロポリスに含まれる栄養素の代表格はフラボノイドであり、最高級品のブラジル産プロポリスは、他地域産に比べて、数十倍のフラボノイドと多くの抗ガン物質を含んでいます。

プロポリスの効能として一般的に知られているものには、抗菌・抗ウイルス作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗肝毒性、免疫調節作用、鎮痛作用などがあり、プロポリスは病気や怪我への抵抗力・治癒力を高める効能に富んでいます。

プロポリスに含まれているフラボノイドは、セサミンと同じく抗酸化作用を持っており、ガンや老化現象の原因となる活性酸素を除去してくれます。フラボノイドの抗酸化作用による効能として、ガン予防、しみ・しわの改善・予防、うつ病予防、動脈硬化・高血圧予防などが挙げられます。

また、フラボノイドはセサミンと同じ「植物エストロゲン」に分類され、女性ホルモン・エストロゲンの働きをサポートしてくれるため、閉経後にエストロゲンの分泌量が低下することが原因の更年期障害にも効果があります。

単体の栄養素であるセサミンと違い、プロポリスは複数の栄養素を含む栄養素材ですが、抗酸化作用によるガン予防や動脈硬化予防など、同じような効能を持っています。セサミンとプロポリスを同時に摂ることで、それぞれを単体で摂るよりも強い効果を期待できますし、それぞれに欠けている効能も得られ、身体の健康を幅広くカバーできます。

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