セサミン以外のゴマリグナン

ゴマ由来の天然成分であるセサミンには、抗酸化作用を始めとして、肝臓機能の向上、脂肪肝の改善、ガン予防、うつ病予防など様々な効能があります。しかしゴマにはセサミン以外にもこうした効能を発揮する栄養素が多数あり、総称して「ゴマリグナン」と呼ばれています。

ゴマリグナンとは

セサミンには、人体で発生する有害な活性酸素を除去する働き(抗酸化作用)があります。セサミンのように抗酸化作用を持つ物質のことを抗酸化物質と言い、セサミンのようなゴマに含まれている抗酸化物質の総称をゴマリグナン(類)と呼びます。

ゴマリグナンの種類

ゴマリグナンにはセサミン以外に代表的なもので、次のようなものがあります。

・セサモリン
・セサミノール
・セサモール

このうち、セサミンとセサモリンは全てのゴマ製品に含まれていますがセサミノールとセサモールは主にゴマ油に含まれています。

(1)セサモリン
セサモリンもセサミン同様、高い抗酸化作用を示します。セサモリンは変化してセサミノール、セサモールを生み出します。

(2)セサミノール
セサミノールはセサモリンが熱で変化したもので、強い抗酸化作用を持ち、コレステロールの酸化を抑制するので、動脈硬化の予防に特に力を発揮します。

セサミノールはゴマよりもゴマ油に多く含まれています。これは、ゴマに含まれているセサミンがゴマ油(白色)をつくる過程でセサミノールへと変化するからです。
セサミノール自体はゴマに少量しか含まれていませんが、セサミノールと糖が結合した化合物(セサミノール配糖体)が大量に含まれており、腸管の腸内細菌によってセサミノールに変換されて吸収されます。
ゴマ油が他の油に比べて酸化しにくく長持ちするのは、主にセサミノールの抗酸化作用によるものです。

(3)セサモール
セサモールはセサモリンが熱や水との反応によって変化したもので、抗酸化作用以外に抗菌作用も持っています。セサミノール同様、ゴマよりもゴマ油に多く含まれていますが、こちらは焙煎の過程で増えるので焙煎ゴマ油(よくお店に置いてあるこげ茶色のゴマ油)に主に含まれています。

(4)その他
ゴマリグナンにはこれら以外にもセサモリノール、ピノレジノール、シンプレオキシドアグリコンなどがあります。

セサミンだけがなぜ有名になったかというと、ゴマリグナンの中でもセサミンが最も高い割合を占めているからです(ゴマリグナンの約6割)。

また、黒ゴマや白ゴマといったゴマの種類によって各物質の含有率は異なります。
一般に白ゴマの方がリグナン含有量が多いとされていますが、セサモリンの占める割合は黒ゴマの方が多いようです。

ゴマリグナンの効果の特徴

ゴマリグナンはゴマに含まれている抗酸化物質の総称ですので、抗酸化作用を持つ点で共通しています。そして、水に溶けにくい性質のため、他の栄養素と異なり胃ではなく肝臓で吸収されます(セサミノールのように、ゴマに含まれている時には糖と結合して、腸管から取り込まれるものもあります)。

人体で発生する有害な活性酸素を除去する、抗酸化作用に基づく効果として

・肝臓機能の向上
・脂肪肝の改善
・血中コレステロール濃度の低下
・ガン予防
・うつ病予防
・シミ予防・改善

などの効果がゴマリグナンには共通しています(最も効果を発揮するものはそれぞれの栄養素により異なります)。

また、ゴマリグナンには女性ホルモン・エストロゲンと似た働きが知られており、自律神経に作用して疲労を回復する効果、睡眠障害を改善する効果、全身の血行を改善する効果などがあります。そのため、冷え性やむくみ、更年期障害といった婦人病や痩身にも効果を発揮します。

ゴマリグナンの摂取方法

ゴマ由来の健康成分としてはセサミンが代表格で、市販されているサプリメントもセサミンのものばかりです。ゴマリグナンの効能はどれも似通っているため最も配合率の高いセサミンのサプリメントだけで十分なのでしょう。それでもどうしても他のゴマリグナンを摂りたいという方は以下を参考にしてみてください。数は少ないですが、セサミン以外の成分も含めたゴマリグナンのサプリメントも発売されています。

(A) セサモリン
セサモリンはセサミンよりやや量は少ないですが、ゴマやゴマ油に含まれています(セサミンがゴマリグナンの約60%であるのに対してセサモリンは約35~38%)。

(B) セサミノール
セサミノールは焙煎前のゴマ油に多く含まれている成分です。焙煎前のゴマ油とは店頭に並んでいる白色のゴマ油です。動脈硬化の予防に特に効果を発揮する栄養素ですから、気になる人は(カロリー・脂質に気をつけつつ)積極的に摂るようにしましょう。

(C) セサモール
セサモールもセサミノール同様、主にゴマ油に含まれる栄養素ですが、焙煎された一般的なゴマ油に多く含まれています。

まとめ

セサミンを始めとする、ゴマに含まれている抗酸化物質の総称をゴマリグナンと言います。セサミン以外の代表的なゴマリグナンとしては、セサミノール、セサモリン、セサモールなどがあります。セサミノールやセサモールはセサモリンが変化したもので、ゴマそのものよりもゴマ油に多く含まれています。ゴマリグナンに共通する抗酸化作用から、肝臓機能の向上、脂肪肝の改善、血中コレステロール値の改善などが期待出来ます。中でもセサミノールはコレステロールの酸化を強力に抑制するため、動脈硬化に効果があります。また、ゴマリグナンは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働き(疲労回復、睡眠障害解消、血中改善など)をするため、冷え性やむくみ、更年期障害といった婦人病にも効果があります。セサミノールとセサモールはゴマ油に多く含まれているのでそちらで摂るように心がけましょう。

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